リンパ浮腫療法士になるには
リンパ浮腫のケアに専門的に関わりたいと考え、リンパ浮腫療法士の資格を調べている看護師や理学療法士の方もいるでしょう。
リンパ浮腫療法士は、研修を受けるだけでは取得できません。受験できる職種や実務経験、研修時間、症例数など、定められた条件をすべて満たす必要があります。
この記事では、リンパ浮腫療法士になるための受験資格や認定までの流れ、研修費用、資格更新の条件を解説します。取得後に関わる診療報酬のしくみも紹介するので、資格取得を検討している方は参考にしてください。
リンパ浮腫療法士とは
リンパ浮腫療法士(LT)は、リンパ浮腫の複合的治療に関する専門知識と技術を備えた医療従事者を認定する資格です。日本リンパ浮腫治療学会が認定しています。
複合的治療とは、スキンケア、用手的リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫下での運動療法を組み合わせた治療法です。リンパ浮腫療法士は、これらの治療や指導に加え、弾性着衣の使用方法や日常生活でのセルフケアについても指導します。
リンパ浮腫療法士は国家資格ではなく、学会が認定する資格です。資格を取得しても、医療行為の範囲が広がるわけではありません。実際に行える業務は、看護師や理学療法士など、それぞれが保有する国家資格の範囲に従います。
認定制度は、2012年に5学会によって設立された「リンパ浮腫療法士認定機構」から始まりました。その後、2016年に日本リンパ浮腫治療学会が設立され、現在は「日本リンパ浮腫治療学会認定リンパ浮腫療法士」として認定されています。古い資料では、以前の認定団体名が使われている場合もあるため、情報を調べる際は注意しましょう。
参考:リンパ浮腫療法士 WEBサイト(リンパ浮腫療法士とは)リンパ浮腫療法士の受験資格
リンパ浮腫療法士の認定試験を受けるには、対象となる医療資格の保有、2年以上の実務経験、所定の研修修了、5例以上の症例経験という4つの条件をすべて満たす必要があります。
- 医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの国家資格を保有している
- 取得した国家資格に基づく業務に2年以上従事している
- 学会の教育内容基準に沿ったリンパ浮腫治療の研修を修了している
- 研修修了後、リンパ浮腫外来などで5例以上の実施症例を経験している
実務経験は、対象となる国家資格を取得したあとに2年以上必要です。そのため、学生や資格取得直後の方は、すぐに受験できるわけではありません。まずは医療職として経験を積み、受験条件を満たす研修と症例経験を計画的に進めましょう。
参考:リンパ浮腫療法士 WEBサイト(受験資格)リンパ浮腫療法士になるまでの流れ
リンパ浮腫療法士の認定を受けるまでには、国家資格に基づく実務経験を積み、所定の研修と症例経験を経て、認定試験に合格する必要があります。
- 対象となる医療系国家資格を取得し、2年以上の実務経験を積む
- 学会の教育内容基準に沿った研修を修了する
- 研修修了後、リンパ浮腫外来などで5例以上の症例を経験する
- 受験を申し込み、必要書類を提出して認定試験を受ける
- 試験に合格したら、認定登録の手続きを行う
受験資格を満たすまでの期間は、実務経験の状況や研修日程、症例を経験できる環境によって異なります。国家資格を取得して2年以上働いていても、研修や症例経験が不足していれば受験できません。勤務先にリンパ浮腫外来があるかどうかも、取得までの計画を立てるうえで確認しておきたいポイントです。
研修の条件と選び方
受験資格として認められる研修には、座学45時限以上(33時間以上)、実技90時限以上(67時間以上)、合計135時限以上(100時間以上)という基準があります。学会の教育内容基準に沿った研修であることも条件です。
研修を実施する団体は複数あります。たとえば、日本医療リンパドレナージ協会では養成講習会を実施しており、LPC(日本ライフ・プランニング・センター)では座学をオンラインで学べる研修を提供しています。ただし、研修によってカリキュラムや受講形式、修了条件は異なります。
研修を選ぶ際は、費用や日程だけで決めず、受験資格に必要な座学と実技の両方を満たせるかを確認しましょう。複数の研修を組み合わせる場合も、受験要件を満たすかどうか、事前に学会の教育内容基準や認定団体の案内を確認することが大切です。
症例経験の条件
症例経験は、リンパ浮腫外来、またはそれに準ずる医療機関で積む必要があります。施設名に「リンパ浮腫外来」と記載されていなくても、医師の指示や指導のもとでリンパ浮腫の治療や指導を行っていると認められる施設であれば、対象になります。
対象となるのは、原発性リンパ浮腫、続発性上肢リンパ浮腫、続発性下肢リンパ浮腫、静脈性浮腫、低蛋白性浮腫と診断された症例です。必要なのは延べ5回の治療ではなく、最低5症例、つまり5人以上の患者さんの実施経験です。
また、症例として認められるのは、所定の研修を修了したあとに経験したものです。勤務先で症例を確保できるか、必要な記録や証明書類を用意できるかも、早い段階で確認しておきましょう。
認定試験の内容と日程
認定試験は、択一式50問の筆記試験で、試験時間は90分です。出題分野は、解剖生理学(脈管系)が約20%、浮腫の概論が約20%、複合的リンパ浮腫治療概論が約60%です。複合的治療に関する内容が出題の中心となるため、治療方法だけでなく、症例に応じた治療構成についても理解しておく必要があります。
2026年度の第18回認定試験は、10月25日に東京で実施される予定です。受験申込期間は7月15日から8月26日までで、申込後には必要書類の郵送も求められます。2026年度の申込受付はすでに終了しているため、これから取得を目指す方は、次回の募集情報を確認しましょう。
第19回認定試験の申込開始は、2027年7月頃の予定です。試験日や申込期間、必要書類は変更される場合があるため、受験前には必ず学会の公式サイトで最新情報を確認してください。
参考:リンパ浮腫療法士 WEBサイト(認定試験実施概要) 参考:リンパ浮腫療法士 WEBサイト(受験申し込み)リンパ浮腫療法士の取得にかかる費用と更新条件
リンパ浮腫療法士の取得には、受験料や認定登録料に加え、研修費がかかります。特に研修費は受講する団体によって差があるため、受講前に総額を確認しておきましょう。
- 認定試験の受験料:16,500円
- 認定登録料:22,000円(試験合格後)
- 日本リンパ浮腫治療学会の年会費:別途必要
- 研修費:受講する団体や講習内容によって異なる
受験料と認定登録料だけでなく、取得までに必要な研修費も含めて予算を考えることが大切です。
たとえば、日本医療リンパドレナージ協会の2026年度養成講習会は、一般572,000円(税込)、学生462,000円(税込)です。一方、LPCのリンパ浮腫研修は、座学部分が51,700円(税込)で、実技は別途受講する必要があります。研修によって受講範囲が異なるため、金額だけを比較せず、受験要件を満たすために必要な講習をすべて確認しましょう。
なお、認定登録時には、日本リンパ浮腫治療学会の会員であり、年会費に未納がないことが条件です。研修費や年会費を含めた取得費用は、受講する研修や取得までの期間によって変わります。
資格の更新にも費用と症例経験が必要
リンパ浮腫療法士の資格は5年ごとの更新制です。更新時には、更新審査料22,000円が必要となります。
更新には、30単位以上の更新クレジットの取得、学会主催の学術総会への1回以上の参加、学会主催の教育セミナーの受講、症例の提出などが必要です。症例については、原則として認定期間中に行ったリンパ浮腫の治療や指導の実施症例を15例以上用意するなど、定められた条件を満たさなければなりません。
取得後も継続して学習し、症例経験を積む必要があるため、資格取得を目指す段階から、長期的にリンパ浮腫のケアに関わっていける環境かどうかを考えておきましょう。更新条件の詳細は変更される場合があるため、学会の公式サイトで確認してください。
参考:リンパ浮腫療法士 WEBサイト(資格更新制度) 参考:日本医療リンパドレナージ協会(医療リンパドレナージセラピスト養成講習会) 参考:LPC(リンパ浮腫研修 E-LEARN)取得後に関わる診療報酬
リンパ浮腫療法士の資格取得を考える際は、医療機関でリンパ浮腫の治療を行う場合の診療報酬についても知っておきましょう。医療機関が「リンパ浮腫複合的治療料」を算定するには、厚生労働省が定める施設基準や算定要件を満たす必要があります。
ここで押さえておきたいのは、診療報酬の算定要件と、リンパ浮腫療法士の受験資格は別の制度だという点です。リンパ浮腫療法士の資格を取得すれば、それだけで医療機関が診療報酬を算定できるわけではありません。
施設基準では、専任の常勤医師に加え、所定の研修を修了した看護師、理学療法士、作業療法士などの配置や実務経験、症例経験が求められます。対象となる研修や必要な経験については、診療報酬の改定内容に沿って確認する必要があります。
2026年度の診療報酬改定では、リンパ浮腫複合的治療料の評価が見直されました。重症の場合は、1回の治療時間が60分以上なら500点、40分以上60分未満なら350点、それ以外の場合は150点です。算定には治療時間などの要件もあるため、点数だけで判断せず、施設基準や算定要件をあわせて確認しましょう。
診療報酬の内容は改定によって変わります。実際の算定や勤務先での対応を確認する際は、厚生労働省の最新資料や、医療機関の担当部署に確認することが重要です。
参考:リンパ浮腫複合的治療料の評価の見直し(令和8年度診療報酬改定) 参考:【保険改定・解説】6月から変わるリンパ浮腫医療~令和8年度診療報酬改定について~ 参考:LPC(「専門的なリンパ浮腫研修」の教育評価認定について)医療系の国家資格がない人の選択肢
リンパ浮腫療法士の認定試験を受けられるのは、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの国家資格を持つ人です。そのため、これらの資格がない場合は、リンパ浮腫療法士を目指すことはできません。
一方、リンパのケアに関する知識や技術を学びたい場合は、民間のリンパマッサージスクールで学ぶ方法があります。スクールでは、美容やリラクゼーションを目的としたケア技術を学べます。ただし、民間スクールで学ぶ技術と、医療機関で行うリンパ浮腫の複合的治療は別のものです。スクールを修了しても、医療資格が必要な業務を行えるようになるわけではありません。
民間スクールでも学べる
スクールを選ぶ際は、学べる技術や実技の時間数、卒業後のサポート、目指せる働き方を確認しましょう。美容やリラクゼーションの分野で技術を身につけたい方は、複数のスクールを比較し、自分の目的に合った講座を選ぶことが大切です。説明会や体験レッスンに参加すれば、授業の内容や雰囲気も確認できます。
リンパマッサージスクール
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